きたかみ腎クリニック

腎臓が悪い人が飲んではいけないサプリ・市販薬リスト:意外な落とし穴

2026/05/18

腎臓病患者が注意すべきサプリメントや市販薬をイメージしたコンセプト画像

外来診療でよくこんな言葉を耳にします。「健康のためにサプリを飲み始めたら、むしろ腎臓の数値が悪化した」「痛み止めを自分で買って飲んでいた」。

腎臓は、体に入ったほぼすべての薬物・サプリメントを処理・排出する臓器です。そのため、腎機能が低下している方にとって、特定のサプリや市販薬は腎臓に直接ダメージを与えることがあります。

「自然由来だから安全」「市販薬だから安心」は間違いです。

1. なぜ腎臓病患者はサプリ・市販薬に気をつける必要があるのか

【当院の方針】サプリメントは原則おすすめしていません

きたかみ腎クリニックでは、腎臓病の患者さんにサプリメントを全般的にはおすすめしていません。


理由は明確で、

サプリメントを服用していると、腎機能が悪化した際にその原因を特定することが非常に難しくなる

からです。


処方薬だけであれば「何が影響しているか」を絞り込めますが、複数のサプリが加わると原因の追跡が困難になります。「健康のため」に始めたことが、診療の妨げになる可能性があります。

腎臓の主な役割のひとつが「薬物や毒素の排出」です。腎機能が低下していると:

  • 薬の成分が体内に必要以上に蓄積しやすくなる
  • 腎臓の細胞に直接的なダメージを与える成分がある
  • ナトリウム・カリウム・リンなどのミネラルを多く含むサプリが電解質異常を引き起こすことがある
  • 薬剤の相互作用で、処方薬の効果が変化することがある

特に慢性腎臓病(CKD)のG3以降になると、このリスクは急激に高まります。


2. 要注意サプリメント一覧

ビタミンC(高用量)

通常量なら問題ありませんが、高用量(1日1,000mg以上)のビタミンCサプリは体内でシュウ酸に変換され、腎臓結石(シュウ酸カルシウム結石)のリスクを高めます。また腎不全患者では、シュウ酸が蓄積してシュウ酸症を引き起こすことがあります。

クレアチン(筋トレ系サプリ)

クレアチンは筋肉の代謝に関わる物質ですが、腎臓で処理・排出されます。腎機能が低下している方が摂取すると、クレアチニン値が上昇したように見えたり、腎臓への負担が増したりする可能性があります。腎臓病の方には推奨されません。

カリウムを多く含むサプリ

スポーツ系のマルチビタミンや電解質サプリには、カリウムが多く含まれるものがあります。カリウム制限が必要な段階のCKD患者には危険です。

マグネシウムサプリ

腎機能が低下していると、マグネシウムも排出しにくくなります。高マグネシウム血症(だるさ・低血圧・呼吸困難)のリスクがあります。

青汁・野菜・果物の濃縮サプリ

「野菜が摂れる」と人気ですが、カリウム・リンが凝縮されており、腎機能が低下した患者には非常に危険です。特にケール・大麦若葉系の製品は要注意。

アミノ酸・プロテインサプリ

蛋白質制限が必要な段階では、プロテインパウダーやアミノ酸サプリの追加摂取は腎臓への負担を増やします。

ビタミンD(市販サプリ)

「骨のために」と自己判断で飲んでいる方が多いですが、腎臓病患者ではビタミンDの扱いが複雑です。

市販のビタミンD3サプリは腸管からのカルシウム・リン吸収を促進します。腎機能が低下してリンがすでに排泄されにくくなっている状態でリンの吸収をさらに高めると、高リン血症・血管石灰化のリスクを悪化させる可能性があります。

なお、腎臓病の治療として活性型ビタミンD製剤(カルシトリオール・アルファカルシドールなど)が処方されることがあります。市販サプリと同じ「ビタミンD」という名前ですが、市販品(非活性型)は腎臓で活性化して初めて効果を発揮します。CKDでは腎臓がその活性化を十分に行えなくなるため、あらかじめ活性化された製剤を処方します。血液・尿検査で腎機能や副甲状腺ホルモン値を確認しながら用量を調整する薬であり、自己判断での中止は避けてください。疑問点は必ず腎臓内科医にご相談ください。


3. 腎臓に負担をかける市販薬

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

最も注意が必要なのがこのカテゴリです。代表的な市販薬は:

  • ロキソプロフェン(ロキソニンS等)
  • イブプロフェン(イブ・ナロン等)
  • アスピリン(バファリン等の一部)
  • インドメタシン(入った湿布・塗り薬も)

NSAIDsは腎臓の血流を調節するプロスタグランジンという物質を阻害するため、腎機能が低下している方では急性腎不全を引き起こすリスクがあります。

頭痛・生理痛・関節痛などで頻繁に使用している方は、必ず担当医に相談してください。代替として アセトアミノフェン(カロナール等)は、腎臓への負担が比較的少ないため、選択肢になることがあります(ただし医師確認必須)。

総合感冒薬

多くの総合感冒薬には、NSAIDsや解熱剤に加え、消炎成分が含まれています。「風邪だから市販薬を飲む」という習慣を持っている方は注意が必要です。

便秘薬(酸化マグネシウム系)

便秘薬として非常によく使われる酸化マグネシウムは、腎機能が低下していると高マグネシウム血症を引き起こす可能性があります。「普通の便秘薬だから大丈夫」ということはありません。

胃腸薬(制酸剤)

アルミニウムを含む制酸剤(胃腸薬)も、腎機能低下時には蓄積するリスクがあります。


4. 「漢方薬だから安全」も間違い

漢方薬は「自然由来=安全」と思われがちですが、腎臓に影響する成分を含むものもあります。

  • 防己黄耆湯・木防己湯など防己を含む処方:中に含まれる成分が腎障害を引き起こすことがある(アリストロキア酸問題)
  • 甘草を多く含む処方(芍薬甘草湯等):偽アルドステロン症(低カリウム血症・高血圧)を引き起こすことがある
  • 天然の生薬でも腎毒性を持つ成分がある

漢方薬も医師・薬剤師に相談してから使用することが大切です。


5. 受診前に必ず伝えること:お薬手帳・サプリリスト

腎臓内科を受診する際は、処方薬だけでなく、現在飲んでいるサプリメントや市販薬をすべて伝えてください。

伝え方の工夫:

  • お薬手帳に市販薬・サプリも記録しておく
  • サプリの商品名と摂取量を書いたメモを持参する
  • 「どのくらい前から飲んでいるか」も伝えると診察の参考になります

まとめ

「体にいい」と信じて飲み続けているサプリや市販薬が、腎臓の数値を悪化させているケースは少なくありません。腎臓病の方は自己判断でのサプリ・市販薬の使用を避け、必ず医師・薬剤師に相談してから使用する習慣を身につけてください。

「今飲んでいるこのサプリ、大丈夫ですか?」という質問は、診察中に遠慮なく聞いてください。

腎臓でお悩みの方へ

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