きたかみ腎クリニック

腎臓病のカリウム制限:正しい「ゆで抜き」の方法と食べていい野菜・果物の目安

2026/05/13

腎臓病におけるカリウム制限と、野菜のゆで抜き調理をイメージしたコンセプト画像

「野菜や果物は健康にいい」というのは一般常識ですが、腎臓病が進行した方にとっては、この「常識」が危険になることがあります。それがカリウム制限です。

カリウムは本来、血圧を下げたり筋肉を正常に動かしたりする大切なミネラルです。しかし腎機能が低下すると、体外へうまく排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が高くなりすぎる「高カリウム血症」を引き起こすリスクがあります。

1. カリウム制限が必要になるのはどのステージから?

カリウム制限の必要性は、eGFRや血液検査のカリウム値によって個人差があります。 一般的には以下が目安です。

CKDステージカリウム制限の目安
G1〜G2通常は不要
G3(eGFR 30〜59)血液検査で値を確認しながら検討
G4〜G5(eGFR 30未満)多くの場合、制限が必要

血液検査でカリウム値が5.0mEq/L以上になると要注意とされます。自己判断でカリウム制限を始めたり止めたりせず、必ず担当医の指示に従ってください。


2. 高カリウム血症の症状と危険性

高カリウム血症は初期には症状が出にくいため「静かな危険」とも呼ばれます。

主な症状(重症化すると)

  • 手足のしびれ・脱力感
  • 筋肉の力が入りにくい感覚
  • 動悸・不整脈
  • 重篤な場合、心停止に至ることもある

症状が出た時点ではすでに危険な状態であることが多く、定期的な血液検査で事前に把握することが何より大切です。


3. カリウムが多い食品一覧

カリウムは水に溶けやすく、生の野菜・果物・いも類・乾物に多く含まれます。

特に注意が必要な食品

食品100gあたりカリウム量
干しひじき約6,400mg
切り干し大根(乾)約3,500mg
バナナ約360mg
アボカド約720mg
ほうれん草(生)約690mg
じゃがいも(生)約410mg
トマト(生)約210mg
豆類(大豆・小豆等)約1,500〜1,900mg

乾物はカリウムが凝縮されているため特に注意が必要です。また、野菜ジュース・果物ジュースは、複数の果物・野菜が凝縮されているため非常にカリウムが高くなります。


4. 調理で減らす「ゆで抜き法」の正しいやり方

カリウムは水溶性のため、適切な調理法でかなり減らすことができます。

ゆで抜き法の手順

  1. 食材を小さく切る(表面積を増やすほどカリウムが溶け出しやすい)
  2. 十分な水に浸す(最低2時間、できれば一晩)
  3. 浸水した水は捨てる(カリウムが溶け出しているため)
  4. 新しい水でゆでる(大量のお湯でゆでるほど効果的)
  5. ゆで汁は使わない(カリウムが流出している)

効果の目安

調理法カリウムの減少率(目安)
水に浸すだけ10〜20%
ゆでる(そのまま)20〜40%
小さく切ってゆでる40〜60%

注意点:

  • 電子レンジでの加熱はカリウムがほとんど減りません
  • 蒸し調理もゆでに比べて減少効果が低い
  • スープや鍋はカリウムが汁に溶け出すため、汁は飲まない

5. 安全に食べやすい野菜・果物の目安

ゆで抜き処理をすれば多くの野菜は食べられますが、種類によって差があります。

比較的カリウムが少なく食べやすいもの

  • キャベツ・レタス・もやし(ただし生食は避けゆでる)
  • きゅうり(水分が多くカリウムは低め)
  • りんご・みかん・ぶどう(少量なら可)

注意が必要なもの(ゆで抜き後でも量に注意)

  • ほうれん草・小松菜・ブロッコリー
  • さつまいも・里いも・かぼちゃ
  • バナナ・アボカド・キウイ

基本的に避けるべきもの(カリウムが非常に高い)

  • 乾物全般(干しひじき・切り干し大根・干しシいたけ)
  • 野菜ジュース・果物ジュース
  • ドライフルーツ全般

まとめ

カリウム制限は、腎機能が低下したすべての方に必要なわけではありません。しかし、G3〜G5のステージになると、血液検査でカリウム値を確認しながら適切な管理が必要になります。

大切なのは「野菜をまったく食べない」ではなく、**「調理の工夫(ゆで抜き)で安全に食べる方法を知ること」**です。管理栄養士への相談と定期的な血液検査を組み合わせることで、安全で楽しい食生活を続けることができます。

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