「むくみ」が続くなら腎臓のサインかもしれません。原因と受診のタイミング
2026/06/30
「最近、足がむくんでいる」「朝起きると顔がはれぼったい」「靴がきつくなった気がする」。
むくみ(浮腫)はさまざまな原因で起こりますが、腎臓病が原因である場合、早期に気づいて受診することが非常に重要です。単なる疲れや塩分の摂りすぎと見過ごしていると、その間も腎機能の低下が進んでしまうことがあります。
なお、美容の分野で言われる「顔のむくみ」(寝不足・寝る前の飲酒・塩分の多い食事による一時的なはれぼったさなど)と、この記事で扱う医学的な浮腫は別のものです。美容的なむくみは数時間〜1日程度で自然に軽快しますが、医学的な浮腫は数日以上続く・体重増加を伴う・押すとくぼみが残るなど、体に水分がたまり続けているサインである点が異なります。
1. むくみはなぜ起きるのか
むくみ(浮腫)とは、細胞と細胞の間の組織(間質)に余分な水分がたまった状態です。通常、腎臓は体の水分・塩分バランスを精密に調整し、余分な水分を尿として排出します。腎臓が原因でむくみが起こる場合、大きく2つの異なるメカニズムがあります。
①腎機能の低下によるもの 腎臓の濾過機能(GFR)が低下すると、塩分や水分を尿として十分に排出できなくなり、体内に水分(塩分)がたまってむくみが出やすくなります。
②ネフローゼ症候群によるもの ネフローゼ症候群では、尿にタンパク質(アルブミン)が大量に排出されることで血液中のアルブミン濃度が低下します。アルブミンは血管内に水分を引き留める役割(膠質浸透圧)を担っているため、これが低下すると水分が血管外に漏れ出しひどいむくみが生じます。ネフローゼ症候群は腎機能(GFR)が保たれていても起こることがあり、①とは別のメカニズムです(ただしネフローゼ症候群自体、腎臓内でナトリウムを貯留しやすい変化も伴うため、①の要素も重なって生じます)。
2. 腎臓病が原因のむくみの特徴
腎臓病に由来するむくみには、いくつかの特徴があります。
よく見られる部位
- 両足のすね・足首(左右対称に出やすい)
- 顔(特に目の周り・まぶた):朝方に顔がはれぼったい
- 手・指(指輪がきつくなる)
- 胸(胸水):重症になると息切れを伴って見られることがある(腹水はまれ)
押したときの特徴 足のすね(脛骨)を親指で5〜10秒ほど押し、指を離したときにくぼみが残る場合(圧痕性浮腫)は、比較的水分(塩分)が多くたまっているサインです。
体重の変化 1〜2日で体重が1〜2kg急増している場合、むくみによる水分貯留を疑うべきです。
3. 腎臓以外のむくみの原因との見分け方
むくみは腎臓病だけが原因ではありません。主な原因と見分け方を整理します。
| 原因 | 特徴 | 部位の目安(進行時) |
|---|---|---|
| 腎臓病 | 両側性・朝の顔のむくみ・尿の変化を伴うことがある | 両足(進行すると顔・全身・胸水) |
| 心不全 | 夕方に悪化・息切れを伴うことが多い | 両足(進行すると全身・胸水) |
| 静脈・リンパ管のうっ滞 | 片側のみ・長時間立ち仕事後に悪化 | 片足 |
| 低栄養・低アルブミン | 全身性のむくみ | 全身 |
| 甲状腺機能低下症 | 硬いむくみ(圧痕が残りにくい)・寒がり・だるさ | 全身 |
| 薬の副作用(カルシウム拮抗薬等) | 服薬開始後から出現 | 両足 |
| 疲れ・塩分の摂りすぎ | 一時的・翌日には改善する | 両足 |
重要な注意点: 腎臓病も心不全も、むくみが最初に出やすいのは「両足(すね・足首)」で共通しています。また「心腎症候群」という言葉があるように、心臓と腎臓はお互いに影響し合う臓器であり、両方が同時に関わっているケースも少なくありません。部位や自己判断だけで原因を切り分けるのは難しいため、「疲れたからむくんだ」と決めつけず、むくみが数日以上続く場合は受診を検討してください。
4. 受診すべきむくみのサイン
以下のいずれかに当てはまる場合は、早めに受診してください。
- むくみが3日以上続いている
- 突然むくみが出た・急に悪化した
- 尿の量が急に減った・出なくなった
- 尿の色が赤い・泡立ちが多い
- 息が苦しい・横になると呼吸が苦しい(心不全の可能性も)
- 体重が短期間で急激に増えている
- 全身のだるさ・吐き気を伴っている
- 既に腎臓病と診断されていてむくみが悪化した
特に 「尿量の減少」と「むくみ」が重なった場合は、緊急性が高いサインです。できる限り早急に受診してください。
5. 腎臓のむくみは「根本治療」が必要
むくみが出ているからといって、自己判断で、水分を制限するのは危険です。
腎臓病に伴うむくみを根本的に改善するには:
- 腎臓病の原因疾患の治療(高血圧・糖尿病のコントロール等)
- 塩分制限の徹底
- 担当医の処方による適切な利尿剤の使用
- 体重・血圧・尿量の定期的な観察
※利尿剤は適切に使用しないと、脱水や電解質異常を引き起こして腎機能をさらに悪化させる危険があります。
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まとめ
むくみは、腎臓病の重要なサインのひとつです。「疲れのせい」「塩分の摂りすぎ」と自己判断する前に、数日以上続くむくみや体重増加は腎臓の問題が隠れていないか確認することが大切です。
特に、健診でクレアチニン値・尿蛋白の異常を指摘されたことがある方は、むくみをより注意深く観察してください。
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