きたかみ腎クリニック

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腎臓の働きが悪くなると、どんな症状があらわれるの?

2024/04/05
腎臓の画像

胃や腸と比べると、腎臓はあまり意識することがない臓器かもしれません。しかし、腎臓の働きが悪くなると、さまざまな体の不調があらわれます。あなたが最近感じている体調の悪さや気になる症状も、腎臓の働きが悪くなっているサインかもしれません。

そこで今回は、腎臓が悪くなったときにあらわれる8つの主な症状についてご紹介します。

そもそも腎臓はどんな働きをしているの?

腎臓とは、腰の少し上の背中側に背骨をはさんで左右にひとつずつある、握りこぶしほどの大きさをした臓器です。腎臓には約100万個のネフロンという組織があります。ネフロンは、毛細血管のかたまり(糸球体)とそれを包むボウマン嚢や尿細管によって構成されています。

腎臓の働きは、次の5つに分類できます。

  • 尿をつくる…糸球体でろ過された血液(原尿)が尿細管を経て尿となります。
  • 体内のイオンバランスを一定に保つ…血液を弱アルカリ性に保ちます。
  • 血圧を調整する…血液の流れが悪くなるとレニンという酵素を分泌します。
  • 赤血球の数を調整する…エリスロポエチンというホルモンを分泌して調整します。
  • ビタミンDを活性化する…ビタミンDは肝臓で蓄積され、腎臓に移ると活性型になります。

続いて、腎臓が正常に働かなくなったときにあらわれる体の変化を見ていきましょう。

腎臓の働きが悪くなると、どんな症状があらわれる?

腎臓の働きが悪くなると「むくみ」や「頻尿」をはじめとした、8つの症状が主にあらわれます。。

腎臓の働きが悪くなると【1】むくみがあらわれる

腎臓から水分を十分に排泄できなくなると、体内に余分な水分が溜まってむくみとなります。むくみは足首のくるぶし辺りからあらわれ、体重が2~3kg増えることがあります。全身にむくみが広がると、肺や心臓などに水が溜まるほか、心不全の原因になることがあります。

むくみがある部分を指で10秒ほど強く押し、指の跡が消えない場合は、腎臓によるむくみの可能性があります。

腎臓の働きが悪くなると【2】だるさがあらわれる

腎不全によって尿毒症物質が体に蓄積されると、症状のひとつとしてだるさがあらわれる場合があります。

「常にだるい」というようにだるさを認められる場合は、腎不全が進行している可能性が高いとされています。末期の腎不全になると、透析などの腎代替療法を検討することになるケースが多いです。

腎臓の働きが悪くなると【3】尿が変化する(頻尿・血尿など)

腎臓の働きが悪くなると、頻尿や尿に血が混じる血尿といった、尿の変化があらわれることがあります。尿量の減少や、1日の尿量が100mL以下になる無尿、夜間に何度もトイレに行く夜間尿があらわれることも多いです。

腎臓の病気は症状が分かりにくいことが多いですが、血尿は比較的自覚しやすい症状とされています。こうした尿の変化が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

腎臓の働きが悪くなると【4】筋肉が衰える

腎臓の働きが悪くなると、健康な人と比べて身体機能が7割ほどに落ち、筋肉量や筋力が低下しやすくなるとされています。その結果、寝たきりや筋肉の量が減少していく老化現象(サルコペニア)があらわれるリスクが高まるので注意が必要です。

慢性腎臓病と診断された場合は、筋力を守るために積極的に体を動かした方がいいとされています。

腎臓の働きが悪くなると【5】血圧が上がる

腎臓の働きが悪くなると、血圧を調整するレニンの分泌が正常に行われなくなるため、血圧が上がりやすくなる可能性があります。

慢性腎臓病になると、半数以上の患者は高血圧が認められ、症状が重くなると複数の血圧の薬を飲まなければならなくなるケースもあります。

腎臓の働きが悪くなると【6】貧血になる

腎臓の働きが悪くなると、エリスロポエチンの分泌が減り、血液を作る骨髄に十分に作用しなくなるため、貧血になるおそれがあります。

腎機能の低下による貧血は「腎性貧血」と呼ばれています。腎性貧血になると、めまいや立ちくらみといった一般的な貧血症状だけでなく、腎臓や心臓に障害をきたすことがあります。

腎臓の働きが悪くなると【7】皮膚に発疹がないのにかゆくなる

腎臓の働きの低下によって血液や皮膚に蓄積された老廃物は、かゆみを起こす原因となります。また、腎臓の働きが悪くなると皮膚が乾燥しがちになり、これもかゆみの原因になることがあります。

ブツブツとした発疹がないのにかゆみを感じる場合は、皮膚科ではなく、内科や腎臓内科を受診すると良いでしょう。

腎臓の働きが悪くなると【8】骨がもろくなる

腎臓の働きが悪くなってビタミンDを活性化できなくなると、血液中のカルシウムが低下して、骨がもろくなり、骨折しやすくなることがあります。

血液中のカルシウム低下が起こると、血清カルシウム濃度を高めるために骨を溶かしてカルシウムを補おうとするため、骨がもろくなるとされています。

骨を溶かしたときに出てくる「リン」という物質は、血管の石灰化を引き起こし、心筋梗塞のリスクを高めるおそれがあります。

思い当たる症状がある方は腎臓内科へ

腎臓は、機能が著しく低下するまで症状を自覚することが難しいため、肝臓と共に「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。

だるさやむくみなどを一時的な不調を思い放置していると、治療が困難になったり、人工透析が必要になったりするおそれがあります。そのため、早めに医療機関を受診して原因を探り、必要に応じた治療を開始することが大切です。

今回ご紹介した症状に思い当たりがある方は、ぜひ一度、腎臓内科を受診しましょう。腎臓内科とは、腎臓を中心とした内科的治療を専門に行う診療科です。軽度の尿検査異常から慢性腎不全の管理まで、幅広い治療が受けられます。

きたかみ腎クリニックでは、腎臓内科の診療を行っております。腎臓の病気について不安なときは、お気軽にご相談ください。

腎臓に負担をかける原因となる習慣の改善も

腎臓の健康を守るためには、食生活の乱れや睡眠不足、運動不足、喫煙といった生活習慣を改めることが大切です。特に塩分やタンパク質の摂り過ぎ、お酒の飲みすぎには注意しましょう。

生活習慣を改めてもだるさが取れない、むくみや血尿が気になるといった体調の変化が感じられたら、ぜひ、当院へお越しください。

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