きたかみ腎クリニック

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大人も悩む夜尿症。おねしょの原因や気をつけたい頻度について

2023/04/24
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夜尿症とは、いわゆる「おねしょ」のことで、睡眠中に本人の意思とは無関係に尿が漏れてしまう症状を指します。

大人の夜尿症は決して珍しいことではなく、精神的ストレスや睡眠の質の低下などが関係していることがあります。また、大人の夜尿症は病気のサインという場合があるので注意が必要です。

そこで今回は「大人の夜尿症」についてご紹介します。

夜尿症の定義と頻度

『夜尿症診療ガイドライン(2021)』では、夜尿症は次のように定義されています。下記に当てはまる場合は、夜尿症の治療が必要です。

  • 5歳以上の小児の就眠中の間欠的尿失禁(ときどきおねしょする)
  • 昼間尿失禁や他のLUTS(下部尿路症状)の合併の有無を問わない
  • 1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続く
  • 1週間に4日以上の夜尿を「頻回」、3日以下の夜尿を「非頻回」とする

つまり、5歳以上の方がひと月に1回以上おねしょをしている状態が3カ月以上続いている場合は、夜尿症の可能性があります。

夜尿症は、夜のおねしょだけの場合は「単一症候性夜尿症」といい、昼間にLUTSをともなう場合は「非単一症候性夜尿症」といいます。日本の日常診療では、患者の4分の3を単一症候性夜尿症が占めています。

15歳以上の夜尿症の頻度はどれくらい?

患者が多い単一症候性夜尿症に限定すると、15歳以上の夜尿症の頻度は1~2%です。夜尿症は成長とともに減少しますが、成人になっても夜尿症に悩む人が一定数いることが考えられます。

大人の夜尿症で考えられる原因

大人の夜尿症は排尿機能がうまくコントロールされないことによって起こり、その主な原因には「加齢」や「精神的ストレス」「睡眠の質の低下」の3つが挙げられます。

原因【1】加齢

加齢による夜尿症にはふたつの原因が考えられます。ひとつは、排尿機能の低下です。

排尿は、膀胱が尿でいっぱいになったら、神経が信号を送って尿意を引き起こし、トイレで準備ができたら尿を出すという形でコントロールされています。しかし、歳を重ねると排尿にかかわる神経ネットワークがうまく機能せず、無意識のうちに排尿してしまうことがあるのです。

もうひとつの原因は、筋力の衰えです。膀胱などを支える骨盤底筋や、尿道の筋力が低下することで尿を抑えることが難しくなるとされています。

原因【2】精神的ストレス

精神的ストレスによって自律神経が正常に機能しないと、夜尿症の原因になることがあります。

通常、夜間の膀胱は緊張がゆるんで尿をたくわえる量が増します。しかし、ストレスで交感神経が優位な状態が続くと、膀胱が緊張してゆるまず、尿をたくわえる量を増やすことができません。

さらに、ストレスによって自律神経が正常に働かないと、膀胱や尿道のコントロールも低下します。これらの結果によって、夜尿症を引き起こすことがあるのです。

原因【3】睡眠の質の低下

夜尿症患者は睡眠から覚醒する能力に問題があり、起こしても覚醒しにくい傾向があるとされています。加えて「寝つきが悪い」「眠りが浅い」といった理由で睡眠の質が低下すると、尿意をもよおしたときに目覚めることが難しくなる場合があります。

また眠りが浅い人は、尿量を抑える抗利尿ホルモンの分泌が減少しやすく、膀胱に尿が溜まりやすくなります。

これらの原因から、睡眠の質が低下すると夜尿症を引き起こしやすくなるといえるでしょう。

大人の夜尿症は病気と合併していることも

大人の夜尿症は、過活動膀胱や便秘といった別の病気が隠れている可能性があります。代表的なものをご紹介しましょう。

過活動膀胱

過活動膀胱は、膀胱が過敏になり、尿が十分にたまっていない状態でも強い尿意をもよおす病気です。その結果、昼夜を問わず急に尿意が起こり、おねしょをしてしまうことがあります。

過活動膀胱の病因は脳血管障害や前立腺肥大症、加齢による膀胱機能の変化など多岐にわたります。治療や生活改善などで正常な膀胱を取り戻すことが、夜尿症対策にもつながるでしょう。

糖尿病

糖尿病の方は血液中の糖の濃度が高く、排出するために多めの水分補給をすることから、尿の量が増えて夜尿症を引き起こすことがあります。

また、糖尿病による末梢神経障害によって脊髄がダメージを受けると、尿意を感じにくくなり、昼夜を問わず尿漏れをきたすことがあります。

便秘

単一症候性夜尿症の便秘の合併率は6~45%と、一定数の人がお通じにも問題を抱えていることが分かっています。便秘によって夜尿症になるのは、便によって腸が膨らみ膀胱が圧迫されることで、尿をためられないことが原因だと考えられています

便秘を合併する夜尿症患者が1年間便秘治療を受けた結果、52%が便秘を改善し、63%の人の夜尿がなくなったと報告されています(※)。

※単一症候性夜尿症、非単一症候性夜尿症を問いません。

大人の夜尿症は泌尿器科で治療しましょう。

大人の夜尿症は、恥ずかしがらずに泌尿器科で治療しましょう。治療をうけることで、夜尿症が治る確率が高まることが分かっています。

ガイドライン によると、治療を受けずに1年で夜尿症が治った人の割合が10~15%であるのに対し、治療を受けた人が治癒した割合は約50%と報告されています。また、生活指導や治療などを受けることで、治癒期間が短縮することも分かっています。

夜尿症がほかの病気のサインではないかを確認するためにも、医療機関を受診することは大切です。

夜尿症でお悩みの方は、ぜひ一度、泌尿器科・腎臓内科の診療を行っているきたかみ腎クリニックへお越しください。当院では男性・女性を問わず、尿の悩みを診療いたします。

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